川勝平太と土居健郎

 川勝平太静岡県知事に当選したのには驚いた。何しろ新聞をとっていないから、立候補していたことも知らなかった。
 しかしまあ、「新しい歴史教科書をつくる会」に入ったり、静岡文化藝術大学の学長に転じたりと、野心家、学究というよりは政治家という印象の人ではあった。何しろあの眼つきがもう、ギラギラしているもの。
 まあ学者としては大した人じゃないでしょう。『文明の海洋史観』なんて梅棹の真似みたいなのもあるけど、もともとの専門は木綿商業で、しかしある時期以降は怪しげな日本礼賛論でそれがどんどんバカバカしくなっていった。政治家に転じたのは正解でしょう。

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と思っていたら土居健郎が死んだ。
(活字化のため削除)

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今日届いた『遊歩人』という雑誌に、森下一仁というSF作家の書評エッセイが載っていて、あの中田喜直伝を紹介していた。始めは、作風に似合わぬ過激な嫌煙運動家としての側面を語っているのだが、結論は、著者の牛山が言うように、合理主義者だったからであり、今では常識になっている、と結んでいる。
 それはないだろう。冗談ではないぞ。十歩くらい譲って、80年代ころは、依然としてどこででも吸えたから中田の主張は意味があったが、今のは行き過ぎだ、くらいが妥当なところだろうが、これでは森下を禁煙ファシストと呼ばねばならなくなる。これも東大文学部卒だ。