二人の森千春

[ヨコタ村上孝之][駒場学派補遺][佐伯順子]
 また同名異人を見つけてしまった。森千春(1958− )は東大比較文学を出て読売新聞記者になり現在国際部勤務、『朝鮮半島は統一できるのか』を中公新書ラクレで出すほか、もう一冊の著書がある。面識はない。だから三年前に森千春『文学の花しおり』が毎日新聞社から出た時、ああ今度は文学の本を出したのかあ、と思っていた。ところがこちらは、同年生まれ、明大中退の毎日新聞の記者だったのである。同名、同年生まれの上いずれも新聞記者。国会図書館では同じ人になってしまっているから、報せておいた。しかし、そもそもこの二人の性別すら分からない。まあ問い合わせれば分かることだが、前者は男で後者は女のような気がする。
付記:やはり後者は女性だった。森詠夫人らしい。

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駒場学派の歴史補遺)
 佐伯さんが『遊女の文化史』を出した翌年、石井美樹子の『王妃エレアノール』の書評を書いて、石井に会う機会があり、当時佐伯さんはフェミ二ストに攻撃されていたから「理論武装しなくちゃ、と思っているんです」と言ったら、石井さんは「あら、理論武装なんか、しなくっていいのよ」と言ったそうである。もう最近はダイアナ妃本の多い、バリバリの保守派だからなあ石井さん。『聖母マリアの謎』なんて、素人が書いた本だから、スカスカだったっけ。

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ヨコタ村上に電話をした。平日の昼間だから、ロシヤ人の夫人が出るかと思ったら本人が出た。例の「除名工作」の件であるが、YMは、ああ訴訟でも何でもやってくれ、という投げやりな態度だったが、どうも嘘のつもりではないらしい。私は確かに、比較文学会を抗議のため退会した時に、会長を含む二人くらいの人に、YMが居座っていることに抗議して退会すると手紙を書いた。それが「熱心な工作」ということに見えたらしい。しかし、「思想犯狩り」というのはおかしくて、はっきり「比較文学などやめてしまえ」と言いつつ比較文学会にいるのだから、おかしいだろうと、それだけのことである。