なんとなく、リベラル

 『文學界』の東浩紀の新連載「なんとなく、考える」は、私の小説からのパクリか。しかしいったい東浩紀がなんで人気があるらしいのか、よく分からない。『思想地図』で、北田や中島とシンポジウムをやっているのを見て「批判に答えずごまかす人の集まりか」と思ってしまったよ。
 ところで吉原真里さんの本に、「match.com」で、政治的志向は「左」と吉原さんが書いたというのを見て、少し困惑した。米国で「左」といえば、まあ共産主義者ではないだろう。民主党的というか、福祉重視、戦争には慎重、という程度だろう。ところが日本で「左」というと、護憲、というのがついて回る。しかも、天皇制があってもいいと平然と口にしていて「左」扱いされる人もいるのだから、実におかしな国である。米国では「左」だって、軍隊を廃止せよとか、他国との交戦権を憲法で否定せよなんて言う人はごく少数だろうし、英国で、王室崇拝家が「左」を名乗るなんてありえないのだ。
 中島岳志と西部先生の本はまだ出ていないようで、もしかしたら二人して「すみません」と謝っているか、西部先生が中島に「謝りなさい」と言っているのかもしれないが、その帯に「保守もリベラルも注目」とあったのに、つい微笑した。じゃあ私は注目していないわけだ。保守でも、リベラルでもないからね。私は、共和主義者だ。

 ネット上のキチガイの話などしていたらキリがないのは分かっているが、アマゾンのレビュアーの「moon」という人が、恐らく統合失調症なのだろうと思われる。『ヴァギナの文化史』『ヴァギナ』『体位の文化史』に、6月23日に狂ったように「こんなものを店頭に置くな」式のレビューを書いている。おそらく読んではいないのだろう。しかも、男性器も載せろ、と書いているが、『ペニスの文化史』だってある。だいいち、男性器なんて、ダビデ像にちゃんとついているし。
 さらに他のレビューを見ると、占星術とか血液型とかを本気にしていて、しかもサドやバタイユに関する本まで読んでいる。年齢は30代後半の女性らしい。

                                                                    • -

今朝方の「毎日新聞」一面に米本浩二が、日本で育ったわけではないシナ人が芥川賞をとったのを「文学史上の事件」などと書いていて、うんざりした。いったい米本という記者がいくつだか知らないが、十年以上前にリービ英雄デビッド・ゾペティ芥川賞候補になった時のことを知らないのか? リービ英雄は野間文藝新人賞や大仏次郎賞までとっているのだ。それとも、事件は何度でも起こるのだろうか。天安門事件のように。