モテ本が流行る

 こないだ、赤坂真理さんから『もてたい理由』を送っていただきました。赤坂さん、小説書かなくなったことの方が懸念される。書いても載せてもらえないのかなー私みたいに、って一緒にしちゃ失礼ですね。そういえば新風舎も倒産したみたいだし、自費出版なら文芸社だ。中村うさぎさんとの対談で行ったこともあるし。ところで赤坂さんの本は妻が読んで、意外と面白い、と言うので、どういう風に? と訊いたら説明できなかったので、読んでいない。
 すると今度は「ラブホテルの力」の鈴木由加里さんの『「モテ」の構造』が編集者から送られてきた。ちゃんと私のことにも言及しているのはいいのだが、出会い系のサクラのバイトをしていた、などと書いていて、いや、サクラとは知らなかったみたいな書き方ではあるのだが、まあ業者の方は、サクラであるという証明が難しいけれど、詐欺罪になりかねない(五年前だから時効だろうけど)告白なので、注意されたい。
 あと「香ばしい」なんて言葉を使われると、東京地裁へ行ってマサシを訴えたくなるから困るなあ。
 さて、しかし間違いが二つある。渋谷知美の、童貞がかっこいい時代があった、というのを間に受けていること。これは間違いであると私は何度も言ったり書いたりしている。もう一つ、ひどいのは「谷崎潤一郎について立派な本を書かれている小谷野に偉そうな物言いはできないのだが」と言いつつ、谷崎が松子に自身の藝術的信念から妊娠中絶をさせたのが引っかかる、と書いていることで、私はその「立派な本」で、それが嘘であることをはっきり指摘しているのである。ということは鈴木は、読みもしないで「立派な本」などと言っているわけで、立派な本でなくてもいいし、偉そうな物言いはできないなどと言い訳しなくてもいいから、読んでから書いてほしいものである。付け焼き刃はすぐ剥げる。
 もっとも、法政大院卒で40過ぎて非常勤暮らしは大変だろうから、頑張ってください。
 (小谷野敦