めちゃくちゃ相撲界

 時津風部屋の17歳の力士が死んだ事件で、親方がビール瓶で頭を殴り、兄弟子たちがリンチをしていたことが明らかになった。
 相撲部屋では、よくあることである。朝青龍なんか、弟弟子いじめがひどく、朝乃翔だか朝乃若だか、兄弟子が注意してもやめなかったという。雅山は高校時代、相撲部で監督の息子に大怪我をさせている。
 恐ろしや格闘技界である。しかし、そういうしごきの中で成長する力士もいるわけだが、その弟子がその種の弟子か、そうでないか、健康状態がいいか悪いか、それは年長の兄弟子や親方がちゃんと見極めなければいけない。
 だいたい、時津風部屋双津竜ていどの力士が継ぐのが間違いである。同じ小結でも、既に独立していた大卒の豊山、つまり湊親方が戻って継ぐのが筋だったと思う。宮城野親方の、愛人に八百長暴露事件といい、もう相撲界はガタガタ。いっそ、大相撲制度を廃止したらどうか。

付記:相撲を知らない人には分かりにくいかもしれないので説明すると、時津風部屋は、時津風一門を率いる名門で、先代親方は大関豊山、理事長も務めた。湊親方はその弟子で、東京農大卒と、当時はまだ珍しかった学士力士で、輪島とともに将来を嘱望されたが、最高位小結で終った。しかし人格・識見には定評があり(輪島はダメだったが)、現在、時津風一門を代表する監事の一人である。対して双津竜は、最高位小結という点では同じでも、泡沫力士で、湊親方がたまたま独立して、先代時津風が引退したあと、部屋にいたからというので後を継いだだけのやつ。時津風を継いでも、理事に推挙されるどころの話ではないような愚物。今回の事件で、ただのヤクザもんであることがはっきりした。まあ相撲通なら誰でも「双津竜時津風親方かよ」と思っていたに違いないのだ。

さらに追記:双津竜が「温厚だった」とする近隣の人々の言葉が報道されて、それを本気にしている新聞記事もあったが、そんなの外面がいいだけに決まっているではないか。DVで知られる某有名作家だって、やたら腰が低いことで有名だし、渡辺秀樹だって、酒が入っていない時、あるいは英語科以外の人にはむやみと腰が低かったから、フランス語の人など、ええー、あの人が酒乱? などと言っていたのだ。先代時津風にも人柄を見込まれたなどとも書いてあるが、そんなの権力者に媚びるのが上手いだけに決まっているではないか。渡辺秀樹だって、部長とか有力教授とかには、ひたすら媚びへつらっていた。

http://markwaterman.blogspot.com/2007/08/white-paper-on-faculty-of-letters.html

Dr. Marks、発見しました。

 (小谷野敦