ヤマザキ、天皇を撃て!

 毎日新聞の「雑誌を読む」というのは、朝日の「論壇時評」に相当するものだろう。今月の執筆者は野島加藤陽子先生。別に国立大学法人だって、旧姓を通称として使っている女性学者は多いのに、執拗に野島(加藤)陽子と記し続ける意味が分からない。
 見出しは「溶解する左派と右派」。佐藤優も出てくる。だが、「天皇」の語はいっさい見当たらない。編集部が野島加藤の言を受けて紹介している浅羽通明の「右翼と左翼を問い直す30冊」(『中央公論』7月号)は、30冊もあげているのに、天皇に関する本が一冊もない。浅羽は、最後に『日本沈没』をとりあげて、いかにも、日本が沈没したら天皇はどうなるのか、と問いたげなのだが、ここでも「天皇」の語は一度も出てこない。
 天皇に触れずに、左翼と右翼だの、左派と右派だの論じる愚。奥崎謙三の霊よ、よみがえれ。

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 信州大学准教授・村荑公胤(まさつぐ)、不当解雇と名誉毀損で信州大を訴えました(「荑」の字は右肩が刀)。
 女子院生から関係を強要されたと主張しているが、強要はいかにも難しい主張だろう。だが、関係を求められたということであれば、セクハラを理由とした諭旨免職はもちろん不当である。問題は、なぜ妊娠させたか(避妊しなかったのか)だが、これについて私なりの推測はある。しかしここで言うのは差し控える。
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 以前から呉智英先生がさんざんバカにしている岩中祥史(よしふみ)の『中国人と名古屋人』(はまの出版、1995)を図書館で借りてきた。内村鑑三が、中国人と名古屋人を合わせて悪く言ったというので、それを考察した書だが、「中国人」というのは、山陽・山陰地方の人間のこと。勘違いで一冊本を書いてしまったわけだが、当の内村の文章には「シナ道徳」とか、「支那」が盛んに出てきて、岩中もそれを引用している。しかも「芸州人」や「長州人」の悪口も書いてある。それでもなお気づかないのだから、もはや相当の鈍物である。東大文学部卒である。
 その続編たる『愛知県人と名古屋人』も呉先生が触れていたが、もう珍書中の珍書で、よくこんなものを出版したものだと呆れる。