泉下の福田恆存先生!

 先日、毎日新聞投書欄に、こんなものが載っていた。

字幕、「づつ」は「ずつ」と訂正を=無職・今村義雄・73(東京都板橋区
2007.01.09 東京朝刊 
 近ごろ、テレビのニュースでアナウンサーのしゃべる言葉と字幕の文字とが異なることがしばしば起こります。放送原稿はしっかりと目を通しているのに、その言葉を字幕にするとき、注意を払うのをおろそかにするためでしょう。気のついた(誤った)言葉遣いはニュースの終わりに訂正することが普通ですが、それすら見逃していることがあります。
 「一人ずつ」とか「一つずつ」とかの場合がこれにあたるのですが、字幕では「一人づつ」あるいは「一つづつ」となっていて、誤りに気づかないのです。「ずつ」も「づつ」も同じ発音のため、誤ったまま訂正もされずに放送が終わるということなのですが、字幕の責任者は、きちんとなっていることを確認しているのでしょうか。「放送では『づつ』となっていたから」と子供たちまでが信じているのですから。

 「づつ」は正仮名遣いである。私の郷里の方言では「つつ」と発音するくらいで、むしろ「新仮名遣い」が「ずつ」にしたことを前から疑問に思っていたが、正仮名遣いで書かれているものを、こう頭から間違いだ間違いだと非難されたのでは、福田恆存先生ならずとも、慨嘆せざるをえない。昭和8年生まれとおぼしい投書者は、正仮名遣いをご存じないのか。まさか漱石全集や谷崎全集に「づつ」とあっても、ああ間違いだと思っているのか。子供らがそういう全集を見て「づつ」だと言ったらこのお方は何と言うのか。朝日新聞は戦後新仮名遣いに固執したので谷崎先生は、正仮名で書かせてくれる毎日新聞に専ら寄稿していたというのに。書評欄を丸谷才一先生が牛耳っているというのに。
 私はもちろん新仮名遣いで書いているが、古典を読むときは正仮名遣いで読んでいるわけで、古典文学全集や漱石全集を新仮名遣いになど直したら文化的暴行である。こういう投書を載せてしまう毎日新聞投書欄担当記者、勉強せえ。

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 先日、近所のビデオ屋ファーストガンダムのヴィデオ全巻を1890円で売っていた。ガンダムなど何度も観たが、あまりに安いので買ってきたら、DVD−BOXが二巻で4万円以上するらしいと知って、お買い得〜。いくらヴィデオが嵩張るからといって投売りしすぎ。