そういえば、2002年暮れ、嫌だと言ったのに謀略に引っかかってヨコタ村上孝之と同席させられたシンポジウムで、髪の前の部分を赤く染めた村上は文化相対主義を主張し、(活字化のため削除)どうやらヨコタ村上には、犬を食べるというのはFGMと同じくらい野蛮なことらしいと後で気づいた。
 私は村上とその時きっちり話をつけようと思ったのだが、酒の席になってしまい、村上は酒癖が悪いから逃げてきた。なんか私が不快感を抱いたと思った人がいたようだが、私は、酒を飲まないと話ができない奴が嫌いなのである。だいたい酒を飲んだ村上とまともな話などできるはずがないのだ。
 やはりそのシンポジウムに出ていた佐伯順子さんは、それよりずっと前のことだが、米国留学から帰って、あちらで野坂昭如の『エロ事師たち』の英訳「ポーノグラファーズ」を授業で扱った云々と話すなかで、「ノザカ」と発音していたから、この人はあれが英訳で「Nozaka」と書かれたために野坂がアメリカ大使館で本人証明がないと言われた経緯を書いた「俺はNOSAKAだ」という、蓮実重彦が『S/Z』にからめて紹介した有名な話を知らないのだなあ、と思ったものだが、実際当時の東大比較では、蓮実重彦なんか読んではいけないという雰囲気があったのだ。だから比較に籍を置いて蓮実先生の授業になんか出ていたのは、私と高木繁光くらいだったのではなかろうか。「順応主義者」は、もちろん蓮実先生の授業になんか出ないのである。そういうことを知らんのかね松浦寿輝は(しつこいね私も)。
 なお念のためハーヴァード大図書館を調べたら「Nosakaを見よ」になっていた。しかし野坂参三は「Nozaka」のまま。

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実は私は野坂さんと対談したことがあるのだが、載せるはずだったのが四谷ラウンドの雑誌で、それからほどなく潰れたので、ゲラごとお蔵入りになっている。