http://cruel.org/other/smoking.html#civilization

 なんで9月30日の日付で室井尚にからむんだ山形浩生。俺にからめよ俺に。それともあれか、俺には勝てないとか、ネットしか見ないネットバカを洗脳しようとか、そういう意図か。(それともコピペするのは楽だが本から引用するのは面倒だとでも?)
 まあ「キャンパス禁煙化計画」みたいのが進んでいるのに、保身に走る大学教授連は何も言わない、という私の批判は、室井に関しては当てはまっていない、ということは分かった。なお「構内全面禁煙にする病院」があったとしても、精神科の入院患者がいる病院では、まずありえない。

アメリカ政府が反喫煙に乗り出す理由って何?」
 その昔禁酒法を敷いた清教徒の国だからでしょ。英国清教徒革命のあと、演劇も禁止されたのを山形は知らんのか?
「たぶん医療費高騰を抑えるための施策で、結局喫煙は健康に悪いからってことになると思うよ。」
 「受動喫煙」なるインチキに関してはエンストロームの論文にも触れていないし、スティーヴン・ピンカーの名著を絶賛した山形にしては、癌の遺伝的相関との比較もしていないし。肺癌などという、日本人においては肺野型が多く喫煙とはあまり関係なく、相関も曖昧なものと、交通事故という、因果関係が明白なものとを比べるのにも呆れたね。ではなぜ、やはり大量に摂取すれば間違いなく健康に悪い酒は、外国並みに販売が規制されないのか、理由を説明してくれ山形。 

だいたい、喫煙と肺癌の相関を示しただけで結論が出せるというのは、基本的な間違いである。ロバート・トリンソンの『喫煙と社会』(平凡社)が言うように、低所得層に喫煙者が多いことを勘案して調整しなければならないし、飲酒との相関、その他さまざまな要因と疾病の相関を調べて比較してからでなければ結論は出ないのである。山形はその程度のことも知らんのだろうか。

「なんでもナチスにつなげりゃけなせるという安易な発想もなんとかならんかね。ナチスは確かに健康増進法みたいなのを作った。でも、別にユダヤ人迫害は健康増進法なんかのおかげで起きたわけじゃない。それはむしろ、人間の文明化されない部分――特に商業的な存在をうさんくさく思う発想、まさに室井の発想――が文明の間隙をついて出てきたせいで起きている。ポグロムの嵐の吹き荒れたロシアでは、健康増進法がございましたか。」

 はあ? 商業的な存在をうさんくさく思う発想? それならヒトラースターリンと同盟すれば良かったでしょ。ユダヤ人差別はユダヤ教徒差別でもあって、ナチスは割礼の有無でユダヤ教徒かどうか確認したはずだが。問題なのはナチスではなく、ナチスに政権をとらせた大衆の情動であって、その中には反共だってあったし、小商人だって大勢ナチスを支持したはずだ。このネット上を瞥見しただけでざくざく見つかるファシズム的情動に、あんたは気づかないのか。四大新聞が結託してファシズムの旗振りをしているのに気づかないのか? そして俺には答えず、室井なぞにからんでいるお前も、ソフトなファシズムに荷担しているのだよ。

「あたしゃもうニコチン中毒でやめたくてもやめられないんです、病気なんです(実際そうなんでしょ)、哀れんで堪忍してください、と土下座でもすれば同情も集まろうよ。それを逆ギレして下手な強弁すると、かえって風当たりが強くなるだけじゃん。」

 おっと山形、それなら小谷真理に訴えられた時に、すみませんお二人があんまり仲がよくて小谷さんが美しくて巽さんが慶応の先生なのが妬ましくてついからかいたくなってしまっただけなんです、私は人をからかい揶揄し傷つけるような戯文を書かずにはいられず、大学の先生とみるとからみたくなる病的体質なんです、哀れんで堪忍してください、と土下座でもすれば同情が集まったのではないか。

 見なさい栗原さん、本を読まずに山形の文だけ読んでガタガタ言ってるネットバカがいるではないか。
   
 なんで山形のデータって米国のばっかりなんでしょ。日本のデータはないのかしら。不思議なことに私が吸っている煙草のパッケージには「心筋梗塞の危険を高めます」って書いてあって「肺癌」とは書いていない。一時は「肺気腫を悪化させ」と書いてあって、既に肺気腫だということか、とクレームがついたので、やめたのかな。  

 ところで喘息だとか喉が弱いとか言っている人がいるが、そういう人の前で煙草を吸ってもいいとは私は書いていないし、『禁煙ファシズムと戦う』の序文さえ読まずにそういうことを書かないで欲しい。禁煙ファシズムはおおよそ都会の問題で、では車の排気ガスは、そういう人たちには平気なのだろうか。これまでが喫煙ファシズムだったと言う人は、今も続く車ファシズムをどう思っているのか。      

 なお以下を参照されたい。よく分からないがだいたい分かる。

http://d.hatena.ne.jp/amai_oyatsu/20050929/p2

小谷野敦)