「利根大堰」の謎

子供のころ、一家四人で「大利根堰」というところへピクニックに行ったことがある。父のトランジスタラジオから左卜全の「老人と子供のポルカ」が流れていたのを覚えているから、1970年の4月ころだろう。私は小学校二年生で、弟は三歳になる前だった。私は父…

小谷野賞

本年度小谷野賞は、 高槻泰郎『大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済』 (講談社現代新書) 特別賞に、 青木正美 となりました。

さやか

「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(藤原敏行)という歌でも分かるとおり「さやか」というのは「明らかに、はっきりと」という意味である。しかし「みんなのうた」の「君はビーナス」(1981年)の最初は「風さやかビルの街にレ…

『諸君!』と『新潮45』

『諸君!』最後の編集長だった人の本が草思社から送られてきた。『諸君!』は末期にはくだらないウヨ雑誌になっていたという坪内祐三の言を否定しているのだが、私も坪内に同意する。この編集長は禁煙ファシストらしく、私は割と不快な目に遭わされて、電話…

まいボコ

山下泰平『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本 』 というのが柏書房から送られてきた。パラパラっと見たところ、日本近代文学史の盲点を突く著作だと思ったので、編…

映画「ドリトル先生不思議な旅」について

うちでは夫婦して映画「ドリトル先生不思議な旅」(リチャード・フライシャー監督)のファンである。しかし私はもっぱら、NHKで放送されていた宝田明が吹替したもののファンである。原典ではレックス・ハリソンは歌のところではほとんど歌っていないのだ…

「真田十勇士」声優の変更について

人形劇「真田十勇士」がNHKで放送されていた(1975-77)のは私の中学一、二年の時にあたるが、前番組「新八犬伝」の大ファンで漫画まで描いていた私は、75年の正月に、12チャンネルまでテレビの音声も入るソニーのカセットデッキを買い、「新八犬伝」の最…

凍雲篩雪(最終回)

凍雲篩雪(86)人類の敵、退屈 一昨年、実家を売ったのだが、最近ストリートビューで見たら、もう新しい家が建っていた。実家といっても、高校三年生の時から住んでいただけだが、それにしても感慨はないではない。草っ原だったところに建った新興住宅地だっ…

小・中・高校の校歌

埼玉県越谷市立出羽小学校校歌 緑は映えて空高く 風さわやかに野を駆ける 望み大きく 出羽の里 心豊かに 育ちましょう 出羽小学校のわたしたち 元荒川や綾瀬川 水は豊かに野を走る 開け伸び行く 出羽の里 強い体を鍛えましょう 武蔵野線やバイパスは われら…

チョムスキーの言語理論?その出発点から最新理論まで 作者: ニール・スミス,ニコラス・アロット,今井邦彦,外池滋生,中島平三,西山佑司 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2019/02/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

松本清張「春の血」と「再春」

中野のお父さんは謎を解くか 作者: 北村薫 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/03/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 隠花の飾り (新潮文庫) 作者: 松本清張 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1982/08/25 メディア: 文庫 クリック: 2回 …

凍雲篩雪

凍雲篩雪(85)歴史学者の放言 一、年末から、hulu というところで配信しているトルコの大河ドラマ「オスマン帝国外伝」を延々と観ている。最初は二週間無料の間だけ観るつもりだったのだが、面白いというよりは妙にやめられなくなって有料になってからも観…

萩坂昇とは編集 児童文学作家。(1924年8月30日-2003年5月11日) 東京出身、川崎育ち。1962年『君たちが生きる社会』(共著)でサンケイ児童出版文化賞受賞。著書『植物のむかし話 子どもと語る日本むかし話』矢萩英雄絵 鳩の森書房 鳩の森文庫 1974『神奈川…

凍雲篩雪(84)

「ストーリー漫画の父」テプフェール: 笑いと物語を運ぶメディアの原点 作者: 森田直子 出版社/メーカー: 萌書房 発売日: 2019/02/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 一、小澤英実さんから、訳書であるロクサーヌ・ゲイの『むずかしい女たち』…

とちおとめのババロア 作者: 小谷野敦 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2018/11/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

芋蛸なんきん

質問内容:「とかく女の好むもの 芝居 浄瑠璃 芋蛸南瓜」、という言葉は、検索すると西鶴のものとされていますが本当でしょうか、出典は何でしょうか。 回答:まず、「芋蛸南京」という言葉を複数の表記でインターネット検索したところ、詳細は不明なものの…

凍雲篩雪

凍雲篩雪(83)勝手に怯えてろ 一、数か月前の本欄で、「鳥潟博士事件」というのに触れて、菊池寛の『結婚街道』のモデルになったと近松秋江が書いていた、としたが、これは別の事件のことで、昭和七年十月、免疫コクチゲンの発見者としてノーベル賞候補にも…

汽笛一声

中村光夫の戯曲に「汽笛一声」というのがある。割と長く、明治初年を描いたもので、読売文学賞をとっている。『かまくら春秋』12月号の森千春の連載「花から読み解く文学57」で中村光夫がとりあげられ、この戯曲に「ひとこえ」とルビが振ってあった。いや「…

池嶋(旧林太郎)は西沢正史

最近、アマゾンレビューで「池嶋」の名で私の著書に一点をつけて荒らしている者がいるが、これはかねてより迷惑行為を繰り返している元大学教授の西沢正史である。「池嶋」というのは、勉誠出版の現社長・池嶋洋次であり、以前名のっていた「林太郎」は、前…

凍雲篩雪

日本史ブームと保守 本誌は来年三月で休刊になるというので、この連載もあと五ヶ月で終わることになる。別段それにあわせて何かを書くということにはなりそうもない。一、井上章一と本郷和人の対談本『日本史のミカタ』(祥伝社新書)を読んだ。呉座勇一の『…

動物園巡礼 作者: 木下直之 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2018/11/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

凍雲篩雪

坂東玉三郎と文学 一、一九九四年五月四日と五日、NHKの教育テレビで、三浦雅士と坂東玉三郎の対談番組があった。その中で玉三郎が、舞踊の際の清元などについて「踊りのための音楽の歌詞でしかないじゃないですか」と言い、三浦がうんうんとうなずいていた…

新刊(文庫化)です

:訂正 232p・『三田評論』で編集長の高橋昌男は→『三田評論』で『三田文学』編集長の高橋昌男は

暴力 作者: 岸川真 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/10/16 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る むずかしい女たち 作者: ロクサーヌ・ゲイ,小澤英実,上田麻由子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/11/21 メディア: 単行本 こ…

凍雲篩雪

凍雲篩雪(80)『黒い雨』と『重松日記』 小谷野敦 群像新人賞を受賞し、芥川賞候補にもなった北条裕子の「美しい顔」が、参考文献を明記しなかったというので問題になった。そんな中で、『文學界』九月号の匿名時評「相馬悠々」は、井伏鱒二の『黒い雨』や…

柳美里と新潮社

『柳美里不幸全記録』は、表紙がヌード写真だというので騒ぐ人がいるが、『新潮45』に「交換日記」として連載された優れた私小説である。その最後のほう、2005年夏ごろに、新潮社出版部と柳との関係の断絶らしいものが描かれている。「決定」を知らせたのは…

三田佳子と小田島先生

2002年10月6日のことだが、西新宿の原っぱで劇団唐組の「虹屋敷」を観に行った。テント芝居である。幕間に外へ出て煙草を喫っていたら、小田島雄志先生が誰か女の人と立ち話をしていた。というか、三田佳子と話していた。 当時、例の三田佳子の次男は二度目…

女嫌いの男

世田谷文学館には、毎月「館長対談」というのがあり、私は佐伯彰一先生時代の2005年にやった。 その時、佐伯先生が、私の「もてない男」のことを、一貫して「女嫌いの男」と発言していた。私ははじめぎょっとしたが、あまりに違うから、何かわけあってのこと…

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